今年で30歳を迎えた友人は、振袖を着なければならないことに、とてもためらいを感じていました。それは、友人の妹さんの結婚式に出席するためでした。友人の妹さんは、神社での結婚式を行うことになり、友人は必然的に和装で出席しなければならないことになったのです。和装で結婚式に出席する場合、まだ結婚をしていない独身の女性は振袖姿、そして、すでに結婚をして旦那さんのいる身である女性は着物姿というのが主流です。そこで、まだ結婚をしていない友人は、振袖姿で結婚式に出席することになったのでした。ここで友人は、その振袖姿にならなければいけないことに、気の進まない気持ちでいたそうです。

それは、姉である自分の前に妹が結婚することになったからでした。もし洋装での結婚式なら、たとえ友人が独身であっても、周囲からはその衣装でばれることはありません。しかし和装では、振袖姿と着物姿とで見た目が変わってくるために、友人が独身であることがばれてしまうのでした。プライドの高い友人にとって、これは屈辱的ともいえるものだったそうです。友人には、お付き合いしている男性もおらず、結婚願望だけがあり、しかしその予定は何1つなかったのでした。そんな友人は、妹の結婚式に出席しなければならないと思いながらも、どこか自分の中に、参加したくないという気持ちがあったと言っていました。

だからといって、結婚式に出席しないわけにもいかず、友人は振袖に身を包むことになったのでした。それは、成人式以来のことで、10年ぶりのことでした。そんな友人は、振袖を着たことによって、たくさんの思い出を巡ることができたそうです。成人式を迎えるために、朝早くから美容室でヘアメイクのセットをしてもらい、着物屋さんで着付けてもらったことや、成人式で昔の友人たちと再会をしたこと、そして成人式が終わってから同窓会を開いたことなど、とても楽しい1日を思い出すことができたと言っていました。気の進まなかった振袖姿も、たまには悪くはないかもしれないと思ったそうです。しかし友人は、これを本当に最後の振袖姿にして、今度は自分が結婚したいと言っていました。友人の妹さんの結婚式にあたって、友人はあれこれと悩んでしまったものの、式自体はとても華やかに行われ、妹さん夫婦もとても幸せそうだったといいます。友人はこの結婚式を見ていて、妹が結婚できて本当によかったと思ったと言っていました。